着ぐるみったら・・・
彼は胸を張って言う 「僕は眠り病なんです」と・・・。
それは彼が入社してすぐ始まった。かなり高い学歴とスキルを保有する彼は、鳴り物入りで入社してきた。
そしてそれは、会社の人々から一目置かれる筈だったが彼が注目を集めたのは皮肉にも高学歴や素晴らしいスキルではなくその席から聞こえる「いびき」だった。
自称眠り病の彼は、出社すると「今のうちに決めておかなきゃ」とでも思うのか始業10分後くらいには、本人だけが一方的に仲良しと勘違いしてる近くの席のIさんに「今日のランチは何にする?」と真剣な目線で訊くのが日課だった。
不思議だなぁ・・・と思う間もなく密やかに響き始める、いびき。
しかも本気で寝てる証拠には、顔はピンク色に上気し、うっすら寝汗さえ浮かべている。
何とも優雅な朝の風物詩である。
サラリーマンにあるまじき行動だなぁ・・・と感心してると、コツコツと社長の靴音。
するとどうだろう・・・今迄夢の中に居たはずの「着ぐるみ」がさも今迄熱心に仕事に集中してたかのようにIさんに近付き「さっきの件だけど・・」と一瞬で仕事モードに切り替わる。
まさにサラリーマンの鏡である。
しかし、流石に周囲の目を誤魔化すのにも限界があり彼の席から、いびきは消えた。
最近よく席を外してるなぁ~と気付いた頃には、男性陣の何人かの口の端に彼の新しい噂が昇っていた。
なんと彼は、トイレの個室という、新しい指定席を確保し「眠り病」と闘っていたらしいのだ!!トイレに入った途端に、かなり大きないびきが聞こえるというのも何とも暢気な会社のひとコマである。
そして彼の企業人としての1日は5時半きっかりに終わり、その後は眠り病も良くなるのか夜の巷へと消えていく・・・次の朝もまた例の日課が繰り返され、楽しいランチが終るとトイレの個室が病室になる仕掛けなのであった。
ちなみに彼の「着ぐるみ」というあだ名は、当然その体型からきているのだがその原因は、毎晩食べる宅配ピザのおかげ・・・。
彼は何軒かの宅配ピザ屋さんの特徴を女性社員に声高に、しかも自慢げに説明し「今度ピザでも一緒にどう?」と訳の分からない誘い文句を、着ぐるみのお気に入りの女性にかなり本気で言っていたらしいが、彼女は影で「あんな後にファスナーのついてそうな人、イヤよ」と大笑いしていた。
| 固定リンク
« ドーム女登場!! | トップページ | 彼の演出 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- とんちんかんディナー(2007.12.13)
- じーじのカミングアウト(2007.09.04)
- 数学者の妥協・・・(2007.08.06)
- 女王様の「お・す・き・な・も・の」(2007.07.25)
- 彼の演出(2007.04.15)

コメント